三次元アーカイブズの構築によるギリシャ・ラコニア地域聖堂群の研究資源化と社会的機能の解明に向けた多分野協働型研究(公益財団法人鹿島学術振興財団研究助成、研究代表者:村田光司、2022年度)

 本研究は、現在のギリシャに残る中世キリスト教聖堂群を対象に、デジタル化による遺産情報の保全と研究資源化、及びそれらを用いて中世聖堂研究の促進を目指すものです。
 世界には多数の建築遺産がありますが、きちんとした管理や修復が行われているものはごく僅かです。中世キリスト教の聖堂は、単なる構造物というだけでなく、壁画や銘文で彩られ、当時の社会の有り様を現代に伝える貴重な遺産です。本研究が対象とする東地中海沿岸域には、現在でも数多くの聖堂遺跡が残存していますが、大半は野晒しの状態にあり、崩壊の危機に晒されています。そこで本研究では、可能な限り多くの遺産情報を素早く廉価に記録する方策として、写真測量という技術を用いた聖堂群のデジタルモデルを作成し、適切なメタデータ付与と記録管理によるデジタル上のアーカイブ構築を目指します。この作業によって建築遺産の情報管理を促進し、またデジタルモデルを多分野の研究者たちの利用に供することで、聖堂が担った社会的機能の解明に分野横断的な視点から迫ることができると考えています。さらに現地の行政当局と協力して、構築したアーカイブを教育や観光のために活用することも視野に入れています。過去の遺産や、情報学の手法によるそれらの保全活用に興味を持つ学生を募集しています。