小野研究室

「高校生の探究における「研究不正」の実態と防止:学校図書館による研究倫理指導の確立」(基盤研究(B)、研究代表者:小野永貴、2025年度~2029年度)

 日本の高校教育は探究学習重視へと転換し、高校生が研究論文を書いたり、学会発表を行ったりするようになりつつあります。しかし、大学とは異なり、高校生や高校の教員は研究倫理教育を受けていない状況があります。そのため、教員が適切な研究倫理教育を行わないまま探究型の授業を実施すると、生徒が公正さや倫理観に欠けた問題のある研究発表をしてしまう危険性が生じています。大学入学前に誤った研究習慣が定着することを防ぐためにも、この問題の解決は急務です。しかし、この課題は従来の学術的議論の中で十分に取り上げられてきませんでした。

そこで本研究では、高校段階における研究不正の発生実態を明らかにし、不正防止に向けて実効性の高い指導用資料を開発したうえで、教員による指導法を提案することを目的としています。

本研究は、「高校生は研究を行う存在であり、高校段階であっても研究不正は生じる可能性がある」という新しい考え方を導入します。最終的には、資料提供や指導実施の場として、「学校図書館」を活用した研究倫理指導モデルを確立することを目指しています。

当研究室では、これらの研究成果を全国の学校現場へ還元しつつ、探究学習指導に関する新たな研究領域を切り開くことを志向しています。このような実践的な研究テーマに関心のある学生を広く募集します。